概要
ビデオゲームの不正行為は古くから存在し、趣味のハッキングはゲームの脆弱性を見つけて改造することに熱中してきた。
しかし、オンライン競技の普及とともに、その趣味は不正行為を売買する産業へと進化した。
ゲーム開発者は、アンチチートに力を入れ始め、特にカーネルレベルのシステムを導入し、最も高い権限を持つ監視体制を整えて、チーター検出を強化している。
その中でも有名なのが、ライアットゲームズが開発した「Vanguard」で、リーグ・オブ・レジェンドやヴァロラントに導入されている。
Vanguardは、チートを「見える化」し、Windowsのセキュリティ機能やハードウェアの指紋採取、コミュニティ潜入、心理戦を駆使してチーターを排除している。
具体的には、Trusted Platform ModuleやSecure Bootといった基本的なセキュリティ技術を用い、不正な改ざんやマルウェアを排除し、カーネルメモリへのコード実行も阻止する。
また、チート配布や開発に関する内部情報も収集し、潜入・逆襲作戦も展開している。
一部の高級チートは、特定の顧客だけに販売され、「未検出」の信用を売り、高額で取引されている。
ライアットは、チート開発者やコミュニティを攻撃・中傷し、信用失墜を狙う戦法も採る。
ただし、全てを制裁しすぎると逆効果になるため、一定の範囲でチートを放置し、進化を促す戦略も取っている。
ハードウェアの指紋を利用した再発防止や、心理戦、そして将来的にAIによる自動検出など、多角的な対策を進めている。
こうした取り組みが功を奏し、2025年初頭の調査では、ヴァロラントのランク戦に占めるチーターの割合は1%未満にまで低下している。
ポイント
- オンラインゲームのチートは産業化し、開発者が対策を強化している。
- Riot GamesのVanguardは、カーネルレベルでチートを検出・排除する強力なシステム。
- チート開発者への対抗策として、心理戦やハードウェアのフィンガープリンティングを利用。


