AIリスクで保険がカバーできない時代に突入か。大手保険会社がAI関連の責任除外を求める理由

概要

AI技術が急速に導入される中で、保険業界はそのリスクをどう扱うかに頭を悩ませている。主要な保険会社であるAIGやグレートアメリカン、WRバークリーは、AIに関連する責任を企業保険から除外する許可を米国規制当局に求めている。AIモデルの出力が「ブラックボックス」だという声も上がっており、その予測不可能性が問題視されている。

保険業界が警戒する理由は、過去の事例にある。例えば、GoogleのAIが誤って太陽光発電会社を法的トラブルに巻き込み、1億1000万ドルの訴訟を引き起こした。また、カナダ航空のチャットボットが発明した割引を実際に適用したり、詐欺師がデジタルクローンを使ってロンドンの設計会社から2500万ドルを盗む事件も発生した。

保険会社が恐れるのは、単一の大きな支払いではなく、広く使われるAIモデルが引き起こす数千件の同時発生する損害賠償請求のリスクである。保険業界は、1社に対する4億ドルの損失には対応できても、1万件の損失を一度に処理することは困難だと認識している。

ポイント

1. 主要保険会社がAI関連の責任を企業保険から除外する許可を規制当局に申請している。
2. AIの誤情報やチャットボットの誤作動で大規模な訴訟や損失が発生している事例がある。
3. 保険業界が最も懸念するのは、広く使用されるAIによる同時多発的な損失リスクである。

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