概要
米国上院は、トランプ大統領の予算調整法案を可決し、NASAの主要プログラムであるアルテミス計画に100億ドルの追加資金を割り当てました。この追加資金は、追加のスペース・ローンチ・システム(SLS)ロケットと月周回軌道に設置されるゲートウェイ宇宙ステーションの建設に充てられます。この決定は、代替技術の採用を望む批評家、特にSpaceXのCEOイーロン・マスクや億万長者起業家ジャレッド・アイザックマンに対する反論となっています。アイザックマン氏は、NASAの次期管理者としてマスクから提案を受けていましたが、トランプ大統領がアイザックマン氏の指名を突然撤回したことで、両者の関係は悪化しています。マスク氏は、SLSロケットが完全に使い捨てであることを批判しており、再利用可能なSpaceXのロケットと比較して非効率的と指摘しています。SLSの開発には約240億ドルが投入されており、その費用は主にボーイング、L3ハリスのエアロジェット・ロケットダイン、ノースロップ・グラマンなどの航空宇宙大手企業に分配されています。アイザックマン氏は、上院の確認審査で、SLSの高額な費用に疑問を呈し、次期アルテミスミッションでの使用には賛成しつつも、長期的には月や火星への頻繁な往復には適していないと述べています。しかし、議会とトランプ大統領は計画を進める決定を下し、追加のSLSロケットとゲートウェイステーションの完成に資金を割り当てました。さらに、マーズ・テレコミュニケーション・オービターの開発に7億ドル、国際宇宙ステーションの運用に12.5億ドル、SpaceXによるISSのデオービット用宇宙船の開発に3.25億ドルが割り当てられています。これらの決定は、マスク氏とトランプ大統領の関係悪化を背景に、米国の宇宙開発戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ポイント
- 米国上院がNASAのアルテミス計画に100億ドルの追加予算を承認。
- スペースXのイーロン・マスクはSLSロケットの使い捨て性を批判。
- 新たな資金は火星通信衛星やISS運用にも充てられる。


