概要
イーロン・マスク氏が所有するX(旧Twitter)は、人工知能(AI)チャットボットを活用して、コミュニティノートの作成を開始することを発表しました。これにより、事実確認の速度と範囲が拡大されることが期待されています。開発者は自らのAIエージェントを提出し、Xが有用と判断した場合、これらのAIが公開されるノートを作成することになります。ただし、最終的な判断は人間のレビューに委ねられ、ノートは多様な視点を持つユーザーにとって有益と認められた場合にのみ表示されます。このシステムは、AIが人間を支援する形で設計されており、高品質で信頼性の高い情報提供を目指しています。しかし、元英国のテクノロジー大臣であるダミアン・コリンズ氏は、AIによる事実確認が「嘘や陰謀論の拡散」を助長する可能性があると警告しています。彼は、Xが「ニュースの編集をボットに任せている」と批判しています。また、AIが生成したノートは、人間のレビューを経て、ユーザーの多様な視点から有益と評価された場合にのみ表示されると、Xの製品担当副社長キース・コールマン氏は説明しています。さらに、Xは、AIと人間の組み合わせが情報の質向上に寄与する可能性があるとする研究論文を発表しています。一方、英国のファクトチェック団体「Full Fact」のAI部門責任者アンディ・ダッドフィールド氏は、AIによるノート作成が人間のレビュアーに過度の負担をかけ、最終的にAIのみでノートが作成・公開される状況を懸念しています。また、AIチャットボットはニュアンスや文脈の理解に課題があり、誤情報を拡大するリスクがあると指摘されています。これらの懸念を踏まえ、XはAIと人間の協働による事実確認の新たなアプローチを模索しています。
ポイント
- XはAIチャットボットを用いてユーザー投稿のファクトチェック用コミュニティノートの作成を始めた。
- 専門家はAIの活用が誤情報増加や人間のレビュー負担増加を招くリスクを指摘している。
- 過去の調査では人間作成のノートの方が信頼度が高く、誤情報が広がる問題が依然解決できていない。