概要
アメリカの成人の約3人に1人が十分な睡眠を取れておらず、睡眠の監視や改善に向けたツールへの需要が高まっている。2014年に設立されたEight Sleepは、AI搭載の睡眠技術製品を提供し、睡眠を予防医学の一環とすることを目指している。最新の資金調達では、HSGやValor Equity Partners、Founders Fund、Y Combinator、フェラーリF1のシャルル・ルクレールら著名投資家やアスリートが参加し、1億ドルのラウンドを完了した。合計資金調達額は約260百万ドルに達し、2021年のシリーズC資金の評価額が5億ドルだったのに対し、評価額は2倍に増加していると同社は述べている。Eightのコア製品であるスマートマットレス「Pod」は、睡眠ステージや心拍数、呼吸、動きを測定し、温度や硬さを自動調整するほか、いびきの検知やベースの自動上昇も可能だ。2019年の発売以来、Podの売上は5億ドルを超え、1秒間におよそ10億時間分の睡眠データを収集している。今後は、AIを活用した「Sleep Agent」システムを拡大し、個別のデジタルツインを作成して睡眠回復を最適化することを目指す。これにより、単なるトラッキングから予防的かつ個別化された介入へと進化させ、睡眠の質向上を促進している。また、医療分野への展開も進めており、高精度の心血管・呼吸モニタリング機能や、更年期症状を緩和するAI冷却機能など、多様な高付加価値サービスを提供している。現在は30か国以上へ展開し、今後は中国市場への進出も計画している。データのプライバシー保護にも徹底しており、暗号化や規制遵守、非侵襲的センサーの採用など、顧客の安心を確保している。
ポイント
- Eight SleepはAI搭載のスマートマットレスで睡眠質向上と健康監視を実現している。過去の資金調達総額は約260億円。
- 新技術「Sleep Agent」や健康監視機能を拡充し、個別最適化と予防医療への展開を目指す。
- グローバル展開を進め、中国を含む複数国で販売、プライバシー保護に配慮したデータ管理を徹底している。


