概要
フィンランドのスタートアップIXIは、眼追跡と液晶レンズ技術を応用した低電力のスマート眼鏡を開発し、老視(遠視)に自動調整する画期的な製品を目指している。
同社は2021年に設立され、今回で4年目にして総調達額は3650万ドルに達した。主投資者にはアマゾンのAlexaファンドやロンドンのVCプルーラルなどが名を連ねている。
IXIは、眼鏡産業が巨大かつ成長著しい市場(推定2000億ドル超、年8%以上の伸び率)において、最後のフロンティアと位置づけている。
創業者たちは、元Nokiaの技術者やMicrosoftのHoloLens開発チームの経験者で構成されており、VRやXR市場における難しさや限界も理解している。
同社は、従来のVRやARデバイスと異なり、「視力補正を目的とした医療機器」としての新たな用途に焦点を当てている。
特許申請中の技術は、フレーム内に組み込まれた小型のデバイスで眼球を追跡し、液晶レンズを自動調整して視界を補正する仕組みだ。価格設定は高-endのスマートフォンくらいを見据える見込み。
利用者は遠近両用や従来の多焦点レンズの不便さを解消し、単一の眼鏡で生活可能になると期待されている。
バッテリー駆動時間は約2日で、遠距離視は常にクリアに見える設計だが、読書中に切れると不便な面もある。
競合には日本のElcyoやフランスのLaclarée、またVixionなどが存在するが、IXIは技術や資金力、開発実績で優位とみられる。
アマゾンの投資は、エリート層との関係や将来的なデバイス展開の可能性も絡み、今後の市場拡大と既存の医療・消費者電子機器との融合に期待が寄せられる。
来年には試作機の公開も予定されており、実用化に向けた第一歩を踏み出す段階だ。
ポイント
- フィンランド発のIXIは、アイトラッキングと液晶レンズ技術を用いた自動調整眼鏡を開発中。
- 既存のVRやAR技術と異なり、 IXIの眼鏡は視力改善に特化し、医療デバイスとしての可能性を追求。
- 投資家から総額3650万ドルを調達し、次世代の低電力・シームレスな眼鏡商品化を目指す。


