概要
フォードはルイビル組立工場に約20億ドルを投資し、新世代の低価格EVの製造体制を整備すると発表した。2027年に発売予定の中型ピックアップトラック(基本価格3万ドル)から生産開始を目指す。従来のラインシステムを刷新し、ハリ・フォード創業以来の伝統的な流れ作業方式を変更することで、コスト削減と効率化を追求している。これは、米国での電動車生産を迅速かつ少部品で高効率に行い、利益維持と中国との競争力確保を狙う戦略の一環だ。CEOジム・ファーリーはこの新システムについて投資はリスクも伴う賭けと認めているが、重要な挑戦と位置付けている。同プロジェクトは、カリフォルニアのスカンクワークスチームによる新たな生産システムと車両プラットフォーム開発によるもので、従来の1ラインを3つの枝に分けた「ユニバーサル生産システム」に進化させている。新たなEVプラットフォームは、中国のCATLからライセンスを受けたリン酸鉄リチウム電池を採用し、ミシガン州の3億ドル規模のバッテリーパーク工場(2026稼働予定)で製造される。このプラットフォームは、従来より20%少ない部品を用い、組み立て工程や時間短縮を実現する革新的な生産方式を採用し、15%高速化を達成している。ルイビル工場では現在の約2,800人の従業員数が将来的に約2,200人に削減される見込みだが、退職支援や他工場への配置を支援しつつ、労働組合とも協力して作業の安全性向上に取り組む。全体として、フォードはこの新システムとプラットフォームの導入を通じて、米国内のEV生産の競争力強化と雇用維持を目指している。
ポイント
- フォードは$2億投資し、ルイビル工場を次世代EV製造拠点に変革、2027年に新中型ピックアップ発売予定。
- 伝統的ラインを見直し、3分岐のユニバーサル生産システムと新EVプラットフォームを導入し効率化を図る。
- 新システムにより15%の生産時間短縮と部品数削減、現工場従業員数も削減しつつ雇用は維持へ。


